東海岸大地芸術祭のホームベースとなるのは、花蓮を南にくだり、台東に着くまでの、約168キロに及ぶ山々と太平洋に面した海岸に挟まれた細長い土地。そのなかに台湾歴史上、最も古いとされている、人類が生活していた痕跡が残る旧石器時代の長濱文化(今から五万年〜五千年前)がある。その後数千年の時の中で、この地で生活して来た先住民は数十にもなり、さらに漢民族の移民も加わり、近年稀に見る多彩な民族構成になっているところでもある。総人口は五万に満たないが、これだけ様々な民族が、この海と山が交わる細長い土地で生活し、人と大自然、人と人との間に独特かつ親密な共生関係を生み出して来た。それは潮の満ち引きにより現れる海岸のようで、海と陸が交差する異質な場所でありながら、最も自然生態系が豊富な場所でもある。このような土地は、東海岸に生活する阿美族にとって自然からの食糧の冷蔵庫であり、彼らのような海洋民族の生活文化を古くから育んできた。