台湾交通部観光局東部海岸観光局風景区管理処(以下略して東管処)は2017年に3回目となる東海岸大地芸術祭を開催する。四組の芸術家を公募し、二名の国際的に有名な芸術家を招き創作してもらう。東部海岸風景区にて、東海岸の自然環境、地形、空間美学などを取り入れた作品で、東海岸ならではの大地の悠々な美学表現する予定だ。この芸術祭は現地住み込み創作、地元の参加に重きを置いてあり、芸術が自然や人文との間に生まれるコミュニケーション、東海岸の気候と環境地形に適応することを強調している。現代の文化観光政策を通じ、ローカルと国際的なの芸術の力を集め、東海岸特有の文化と地形風貌の表現を目的としている。
東海岸大地芸術祭のホームベースとなるのは、花蓮を南にくだり、台東に着くまでの間、約168キロに及ぶ、山々と太平洋に面した海岸に挟まれた細長い土地。そのなかに台湾歴史上、最も古いとされており、人類が生活していた痕跡が残る旧石器時代の長濱文化(今から五万年〜五千年前)がある。その後数千年の時の中に、この地で生活して来た先住民は数十にもなり、さらに漢民族の移民も加わり、近年稀に見る多彩な民族構成になっているところでもある。総人口は五万に満たないが、これだけ様々な民族が、この海と山が交わる細長い土地で生活し、人と大自然、人と人との間に独特かつ親密な共生関係を生み出して来た。それは潮の満ち引きにより現れる海岸のようで、海と陸が交差する異質な場所でありながら、最も自然生態系が豊富な場所でもある。このような土地は、東海岸に生活する阿美族にとって自然からの食糧の冷蔵庫であり、彼らのような海洋民族の生活文化を古くから育んできた。なので今年の芸術祭は≪潮間 共生≫のテーマのもと、現地創作芸術を通じて東海岸における独特な人文と自然を表現する。
東海岸の恵まれた人文養分の元、私たちは「母なる島から出発、世界と出会う」の観点と展望を提出する。多くの太平洋南諸島に伝わる歴史の中で、台湾は彼ら先祖が漂流の旅を始めた拠点とされており、「母なる島」である。
とくにグローバル化が進む現代社会において、土地の、民族間の、個人的の主体性が、グローバル化された経済世界、時空を超えたクラウドネットワークにより、その境界線が薄れてきた。なので如何に世界に向き合うと同時に大地に根付けるのか、それは私たちが「東海岸大地芸術祭」を通して、芸術家たちによる詩的で素晴らしい作品を世界に贈り届けたいお土産だと思っている。
東海岸の大自然の威力は、常に我々に人類は如何に小さく有限であるかを思い知らせてくれる。長い夏にはまるで九つの太陽に照りつけられているような猛暑が続く。初夏から晩秋にのほぼ半年に及ぶ台風期には、十日ないし半ヶ月で台風が上陸、あるいは通過する恐怖に晒される。それはロトくじの番号を待つみたくハラハラするものだ。また台風がもたらす瞬間的な暴風雨は、この地に住む人々に、いつでも最初からやり直さなければならない覚悟を与え、いちいち気にしていたら気が持たなくなるゆえに楽観的な個性が育まれた。秋分が過ぎた後、東北の季節風が吹き、その強烈な風とそれがもたらす大波は台風にも引けを取らない。さらにユーラシア大陸がぶつかり合う場所に位置しているため、大小の地震はもはや日常茶飯事だ。
ここ花東地域は、海と陸地が交わる場所みたく、波が絶えない潮間帯のように豊穣であり、「台湾最後のパラダイス」とも言われている。その美しさは、荒々しい大自然による数え切れない数の洗礼による傑作でもあり、この土地にする人類と自然との間にある濃密で豊富な依存の共生関係を磨き上げてきた。
また大地芸術祭の芸術作品は人が自然の中にいることの延長で、東海岸の大自然による厳しい洗礼にも耐えなければならない。今回の日程もちょうど台風の季節に設定されている。なので芸術家たちが創作理念と材料の活用において、「台風は敵でない。ともに歩むべき友達である」ことを考え、東海岸大地生活にふさわしい芸術作品を作り上げてほしい。
作品に用いる材料に制限はなく、単一の自然素材、あるいは複数の混合素材でも構わない。天然の素材は木材、竹、藤、石、水、銅、鉄、各種植物、植物による染め物、織物などが適しており、長期的に屋外に設置できる材質が最もよい。大きさは現地の環境によってふさわしいサイズがよい。
芸術家が現地創作する期間は2017年6月1日―6月30日。作品は決められた場所で、少なくとも五ヶ月間(土日祝含め)展示する。今回の予定は2017年6月10日―2017年10月31日の間。