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2018東海岸大地芸術祭主題についての論述

東海岸大地芸術祭主題についての論述

2018 Curatorial Discussion

2017年、私達は「東海岸大地芸術祭」で「潮間共生」のテーマを掲げ、各界から好評を頂き、「東海岸大地芸術祭」が世界においてユニークなものである礎を作り上げることができた。その概念は私達が「東海岸大地芸術祭」のベースとなる場所への観察-すなわち、花蓮市から南に台東市へ抜ける、総長百六十八キロメートル、山脈を背にし太平洋に面する細長い土地だ。旧石器時代の長浜文化(今より五万年~五千年前)があった場所で、台湾島内における、人類が最も早くから生活していた痕跡が残る場所でもある。その後数千百年以来、この地で生活してきた先住民は幾多を数え、更に漢民族、近年の他国的な移民が合わさるが、総人口数は五万人を少し超えたくらいしか無い。数多くの民族がこの細長く、海と山が交わる場所で生活し、多元文化の流動を通じ、特質な人と自然、人と人との緻密な共生関係が生まれた。潮間帯は、潮の満ち引きに現れる海岸であり、そこは海と大地が交わる異質な場所でありながら、多様な自然生態系を保っているところでもあるのだ。また、東海岸阿美族が毎日の食料を採る冷蔵庫でもあり、豊な海洋民族生活文化を育んできた。

2017年の「東海岸大地芸術祭」は、過去三十年東管処とローカル芸術、さらに部落の仲間と共同で努力、そして前二回の芸術祭を礎に、更に緻密で多面的な資源を統合、設計し、《潮間 共生》のテーマの基、マクロな観点でこの太平洋世界に影響を及ぼした、台湾東海岸潮間帯共生文化と生活美学を表現した。私達は文明と自然の交わる潮間帯で、自らの主体性を創造してきたが、如何に更に深く多面的で、永続的に世界との対話を広げるのかが、現在そして未来への課題だ。

「島 群の中で」

2018年、私達は「潮間共生」のテーマを引き継ぎ、「島 群の中で」を今年度のテーマとした。更に緻密に、深く台湾東海岸、そして台湾島とこの星に散らばる無数の島々の関係を見つめる。「私達が注目するのは物事自身だけではい。私達が注目するのは、いつも物事と私達の間にある関係である。私達の視線は絶えず探し続け、移動し、その周りで何かを掴み取ろうとして、私達の目の前に広がる光景を表現している。私達がそれを鑑賞した後に、すぐに私達も鑑賞されているこのに気がつくだろう。他人の目線と私達の目線が交流した時、私達がこの見える世界の一部分になることは、疑いの余地が無いだろう。」[1] 現代において、最も重要な芸術評論家ジョン・バーガー氏(John Berger)が視覚芸術の「見る」についての論述だ。私達が「東海岸大地芸術祭」の企画、実践に向けていく中で、キーポイントとなるものを説明している。それは芸術を通して見るとは何か。一方通行の観光を、流動的な視線の交流にどう変化させるか。そしてその交流の中で、新しい関係を如何に創り上げていくか。

[1]《觀看的方式》,John Berger著,吳莉君譯,台北市:麥田,城邦文化出版,2010/08

台湾で生活していると、四百年以来の中国式漢民族文明の単一の歴史館に囚われ、台湾は海に囲まれた島であることを忘れがちになってしまう。私達は常に海が陸地と陸地を阻んでいると思いがちだが、実際の海は流動的で、寛容、更にオープンな特質でそれぞれの島、大陸を繋げているのだ。台湾島に住んでいた先住民は海に乗って旅に出て、数千年を経て海洋文明の種を太平洋諸島群の文化共同体に広めた。数百年来、中国、欧陸、日本列島等各種の植民者や文化が海を渡ってやってきたのも、海の流動、守護であり、台湾が今のように色鮮やかで多元文化が共生できる島になったのだ。そして台湾東海岸は最も原始的な海岸と山脈が交わる自然環境、そして海洋民族の生活文化を保ってきている。近年無数の人々をここに定住させるに至った要因も、ここでは人と海が親密的に交わっているからではないだろうか。南アフリカ籍のドキュメンタリー監督Jackson Mark氏が台湾東海岸人文風景について、詩的な言葉を残したことがある。「もし皆がそれぞれ島だとしたら、群衆は群島であり、海はそれぞれを繋げているものだ!」人口密度が一番低い山と海の間で、皆が生態系豊な島のように生活し、同時に他の島との交流、共生も維持する。また、芸術家のRahic氏は、阿美族が海に頼って生きてきた経験を基に創作している。「海に入ることで、鼓動の静けさの中で、生と死の境界を見ることができ、世界の真の姿を見ることができ、太平洋で自分本来の姿を見つけることができる。」

今年2018年の「東海岸大地芸術祭」では、「島 群の中で」をテーマに、台湾が太平洋文化の母島なのに、忘れてしまった自身の「海洋性」を探索し、台湾東海岸における「太平洋美学」について描き続け、世界との対話を尋がていきたい。