Welcome To Taiwan East Coast

東海岸大地芸術祭

About Taiwan East Coast Land Art

台湾交通部観光局東部海岸観光局風景区管理処は2018年に4回目となる東海岸大地芸術祭を開催する。東部海岸風景区にて、東海岸の自然環境、地形、空間美学などを取り入れた作品で、東海岸ならではの大地の悠々な美学表現する予定だ。この芸術祭は現地住み込み創作、地元の参加に重きを置いてあり、芸術が自然や人文との間に生まれるコミュニケーション、東海岸の気候と環境地形に適応することを強調している。現代の文化観光政策を通じ、ローカルと国際的なの芸術の力を集め、東海岸特有の文化と地形風貌の表現を目的としている。

2021策展論述

2021 Curatorial Discussion

「海歌山和」

 

日の出の方向から、

シロナガスクジラが顔を覗かせ、慎重に、

ザトウクジラの大群に近づいていく。

悄然とした、

美学では捉えきれない距離で、

細く長い後ろ姿を見せる。

広々とした山々と大海原の間に、

自身の安らかな境界線を見つけ出して。

————————————-劉克襄,〈海岸山脈〉,《巡山》詩集

 

季節風は太平洋の歌とともに、湾曲とした海岸線、翡翠色と紺碧色が交わる道路、そして山と海の間で耕作する人々を吹き抜け、静閑な神秘的に連なる海岸山脈にに向かっていきます。深夜、万物が眠りにつき世界が静寂に包まれる頃、耳をすませば海岸山脈が太平洋の歌に返事しているのが聞こえてきます。海岸山脈はいつだって沈黙しているのではありません。昼夜問わず、どんなときでも、はるか昔から海が歌えば山は応えてきました。三百万年前、フィリピン海洋プレートの北端に位置する火山島(現在の海岸山脈)と、ユーラシア大陸プレートの東南端(台湾島)の衝突が始まって以来、今に至るまで途絶えたことがありません。

 

山と海の合唱みたく、「蓬莱造島(台湾島のプレート運動)」は現在でも激しく活発に続いています。地球46億年の歴史を1時間に凝縮してみると、台湾島が生まれたのはたった5秒前で、日々成長を続けている最中です。大海が島の山脈にぶつかり続ける東海岸にいると、日々成長している、まさに「一暝大一寸(一晩寝ると一寸大きくなる)」の驚異的な生命力と変化する様子が感じられます。東海岸には、激しいプレート運動によって日常的に発生する地震や、海面から海抜千メートルの山頂に至るまでの長くて数キロ、短くて数十メートルの直線距離から生まれる独特な起伏が激しい地形、山脈を切るような短く激しい渓流、普段は穏やかでも大雨が降れば一瞬で激流となり大海へ流れ込む小川があります。また、北回帰線が通る最大の島嶼でもあり、亜熱帯の暖かく湿った気候は、複雑で豊富な動植物の生態系を生み出しました。夏季の長く暑い日差しや、太平洋に面している島嶼は、台風が上陸する最前線でもあり、秋に入ると東北から季節風が吹き始め、荒れ狂う波と風が山脈を直撃します。地球温暖化の関係により、海面が上昇し海岸を侵食して、海沿いの道路も海岸山脈に近づいていきます…。東海岸で頑張って日々を過ごしている人達よりも、「無常こそが日常だ」という言葉が理解できる人はいないでしょう!目の前の全てが刻一刻と移りゆく中で、「天地不仁,以萬物為芻狗(天地は全てに対し平等で、そこに上下関係は存在しない)」こそ大自然の原則であり、大自然はその強大で残酷な力を、その驚くほどの美しさを見せつけてくれます!私達も大自然が持ち合わせる驚嘆すべき美しさに、生まれ変わる勇気ときっかけを見出せるのです!

世界中が新型コロナウイルス感染症で上を下への大騒ぎとなった2020年、誰もが人類文明の脆弱さと危険性を感じたと思います。強大な国は一番影響を受けた場所でもあり、元々は頻繁だった国家間の往来も、一夜にして全てが停滞しました。各国は国境を閉ざし、影響を大きく受けた都市ではロックダウンが実施され、全世界の経済、政治と人類文明は未曾有の危機に面し、再出発の方法を模索してきました。その渦中にある島国の台湾は、大しけのなかに浮かぶ小さなノアの方舟のようで、世界中の驚きと奇跡を載せて大波を乗り越えてきました!台湾は昔から様々な文化と価値が衝突する場所であり、東西対立の境界線にいて、ユーラシア大陸プレートと海洋プレートが激突する場所みたく常に衝撃の最前線にいました。私達は日常生活において世界情勢と環境の変化にアンテナを常に張り巡らし、様々な衝突と変化に対し迅速で敏感に反応してきたこともあり、驚くべき強い生存の意志が育まれてきました!国家間の往来は閉ざされましたが、人々は心を落ち着かせて自身の足元にある土地を、日々を生活している美しく奇跡に満ちているがなじみの薄いこの島を、改めて見つめなおす時間が生まれました。島の外の世界がコロナ禍に苦しんでいる中、私達は平穏な生活をおくることができていますが、この終末の危機に直面している今だからこそ、人類のテクノロジー工業と、高度資本主義によって世界中の資源が奪われていくこの文明発展を顧み、今まで歩んできた道は、どれほど踏み外してしまったのか?このまま、あとどれくらい進めるのか?と問わざるを得ません。「東海岸大地芸術祭」は、人と自然が交わる場所に立ち返り、人と自然の関係をもう一度感じて、繋がり、一つになれたらと願う、私達からの招待状です。

 

伝統的な祭りや儀式、または現代社会の文化経済活動から生まれる「文化芸術祭」など、それらが担う大きな役目として「共にお祝いする、参加するプロセスを経て、現実生活の障害を取り払い、生命の神聖な本質と力を照らし、人と人、人と宇宙の関係を繋ぎなおす」ことです。祭りの重要な意義は、「一時的に日常/世俗の秩序から、非日常/神聖な秩序に入り、回復する」ことでしょう。人類学の観点から人類の社会生活を観察すると、人類の生活は基本的に2種類の時間と生命の状態を往復して構成されていることがわかります。それは平凡/日常/仕事/家にいる状態と、神聖/非日常/祭り/観光している状態です。時代のニーズと共に生まれる地域的な芸術祭が存続していくには、内外からの参加者が要であり、参加者全員がこの土地、環境と人文をベースに創り上げていく芸術祭から、生命の癒し、切り替え、変化、新生の力を得ることが重要なのです。

 

東海岸で生活している人々は、海岸の岩礁や渓流の堆積によってできた山沿いの平原で忙しく働いています。深夜に響く、山と海を行き来する潮汐の音のように、万物はこのような往復の中で生命に対する癒しと存続する力を獲得しているのです。2021東海岸大地芸術祭では、東海岸が古来からの「海歌山和(海が歌えば山が応える)」の癒しの力を伝え、ワクチンの普及や国家間往来の正常化に伴う「ポストコロナ時代」に向けて、新しい未知なる世界への旅立ちの準備をしていけたらと願います。