駐在芸術家紹介
屏東三地門郷馬児部落生まれの排湾(パイワン)族芸術家。1995年に10年の軍隊生活を終えた後、幼い頃から大好きだった創作活動をはじめました。当初は自分で模索していましたが、排湾族の芸術師匠、撒古流Sakuliuより芸術理念や技法面で指導を受け、彫刻の道を歩み始めました。もとより才能豊かだったKuleleは、伝統的な木や石の他にも、廃金属等といった複合素材を使った創作もしています。車の整備工場から廃材のパーツを創作の素材に変え、彼の独特な流線的な造形を加えることで、冷たい金属に隠れた柔軟性、可塑性をいかんなく発揮させています。創作の道に入ったKuleleは東海岸が好きになりました。当時は台湾の先住民現代芸術創作意識が芽生え始めた頃で、Kuleleは1990年代より港口部落に戻り母体文化を源とする創作の先駆者である拉黑子Rahicや、彼と年齢が近く同じように部落に戻り創作を始めたSiki、伊命、達鳳…など、東海岸で生活する先住民創作者に出会いました。Kuleleは東海岸の独特な海と川が入り交じる自由で多元的な創作雰囲気に魅了され、志をともにする友人もたくさんいることから、前世紀末より自分の故郷である三地門とあこがれの東海岸の間を行き来するようになりました。彼の創作もまた、山林民族の繊細な情と、海洋民族の波のような流線を併せ持つようになりました。
作品簡介
作品名稱:旅人の目
素材:鉄筋
サイズ:長さ800cm、幅400cm、高さ250cm
場所:加路蘭、北側の草地
今回「海歌山和-海が歌えば山が応える-2021東海岸大地芸術祭」に向けて創った《旅人の目》は、都蘭山と都蘭湾が寄り添う絶景を望む加路蘭遊憩区にあります。Kuleleにとって、目は人の内なる世界と外の世界を繋ぐ通り道です。東海岸の山と海が織りなす美しさは、視覚的な華麗さにとどまらず、人々の魂を洗う強大なパワーがあります。今回はリサイクルした鉄筋を使った旅人の目を通して、この山と海の間にいる観客が雄大な景色を見る他に、自分自身と大自然の依存関係を見つめ直してもらえたらと思います。
遙か時を越え…
昼夜、四季がめぐり無数の日が流れ…
自然万物と人々は山海の間で互いに寄り添い
豊かな大地は生命誕生の悦びを載せ
やがて土に海洋に帰っていくのを黙々と見届け
歳月が雄大で美麗な東海岸を創り…南島民族文化を育み伝え
通り過ぎる旅人は誰もがその美貌に見とれ
生命の流れと移ろいは
ここに足を止め…止まり…見つめ…眺め合い…
胸に刻まれた心の出会いは…
その美しさを残し、称賛を印を心の海に…