駐在芸術家紹介
台東卑南（ベイナン）族の芸術家。創作の源は楽しかった幼少期の記憶で、作品を通じて「愛と平和」を訴えています。その作品は複合素材を用いたものや、インスタレーション、寝具のデザイン、服装のデザイン、水墨画、パフォーマンスアート、流木創作など多岐にわたります。芸術創作者として、彼は「自分ひとりの世界で創作する」タイプではなく、彼にとって「創作は愛の流れであり、社会参加は最もたるモチベーションで、創作の情熱とインスピレーションが発生します」。彼は長年、「土地に寄り添った創作」を貫き、「一人の創作者は土地との繋がりがあるべきだ」と考えています。
彼は土地から創作の養分を掘り出し、人は自然万物の一部である概念を信じています。彼の世界では、一つ一つの花、草、木、更には砂利までもが仲間であり友人であり、これらは全て宇宙自然のスピリチュアルな秩序の中で体現されており、この世界観は彼の作品から見受けられることができます。形式上では自然素材をそのまま運用し、自然のリズムやラインを強調し、簡素な色彩を用いていますが、テーマは環境変化への反省を表現しているのです。自然環境の中で生活している創作者にとって、彼が気にかけていることは作品の芸術性を展示することではなく、環境破壊や環境への干渉です。それゆえ、彼の作品は大自然に対する賛美と崇拝であると同時に、人類文化がもたらす環境破壊の挽歌でもあるのです。
私達は神話や伝説の中で生きてきました。誰もが物語の主人公で、どの物語も再三にわたり、大自然を師とし学ぶよう語られてきました。でなければ大洪水による文明の崩壊は古の神話ではなく、現実となって迫ってきます。21世紀の気候難民や、地球各種資源の枯渇、生態系の崩壊、人類の文明は病んでいます。大自然のメッセージを読み解き反省し、物心両面の生活のバランスを取り戻すべきです。
台湾は南島の母島であり、ユーラシアとフィリピンプレートの上に位置し、地理的に重要な位置にあります。島には様々な民族が住み、古い神話伝説が語り継がれており、植民地時代を経て、多種多様な民族の文化が混ざり合いました。この古い文明と現代科学が集う宝島で、東海岸には定、静、安、慮、得、瞑想を通じて内面をリンクできる空間が必要です。意識の覚醒がもたらす芸術と霊性の結合に期待しています。
作品簡介
清涼地に送る作家：見維巴里 Chien Wei Bali
素材：鉄、海洋リサイクル物、植物
サイズ：高さ300cmの人形3体
場所：成功海浜公園、北側の草地
今回の創作もこの土地に住む人々を繋げたいと思いました。東海岸は長年、慢飛天使達（発達が遅い子供達）に寄り添い、ゲームを通じて創作してきました。今回も慢飛天使の家庭と共に海洋廃棄物を拾い集め、成功海浜に石を使い、心を静め祈りを捧げる場所を創ります。人と自然の対話を通じて、この地を訪れた人々にとって、この無限に広がる大海を前に、落ち着き瞑想できる空間になれたらと思います。
万物が生き生きとし 願いが叶い 宇宙真善美の力と共に 愛が止まないことを願います
